Movie Holic第五回 映画『君の名は。』をジェンダー視点から覗き見っ!

連日話題となっている『君の名は。』。RADWIMPSがその音楽を手掛けたことでも有名だよね。あまりにも話題になっているから、私もその面白さを堪能してきたよ~◎筆者的には、話の構成が上手くてとっても面白かったっていうことと、町並み等の風景画があまりにも綺麗で感動したということがまず初めに出てきた感想かな。

今回そういった率直な感想はさて置き、せっかくだから、ジェンダー的視点から『君の名は。』を振り返ってみようと思うの。(ネタバレも若干含むから、まだ見てない人はそこんとこ許してね…!)

『とりかへばや物語』と『君の名は。』

さてさて、「君の名は。」の中では、ヒーローの瀧(タキ)と、ヒロインの三葉(ミツハ)がいたよね。瀧は喧嘩っ早いけど真っ直ぐな性格の男の子、三葉は優しいけど自分の考えははっきり持ってる好奇心旺盛な女の子として描かれていたように思う。この二人が入れ替わっちゃうってところも面白いんだけど、何より皆の笑いを誘ったのは、「男だけど仕草だけめちゃくちゃ女の子っぽい」ってところとか、「異性の体の違いは気になる」ってところとか、そういうところだったんじゃないかな。

『君の名は。』公式ページを見ると、話の元は、『古今和歌集』の小野小町の和歌『夢と知りせば覚めざらましを(夢と知っていれば目を覚ますことはなかったのに)』からモチーフを得て、そこに『とりかへばや物語』的要素が加わってできた物語なんだって。『とりかへばや物語』は男の子が内向的で女性らしい性格に、女の子が外交的で男らしい性格に育てられていたわけだけど、これも「女らしい」「男らしい」という前提があるからこそ面白可笑しく読める物語だと思うんだ。

『君の名は。』についても同じことが言えるよね。「見た目は男なのに」「見た目は女なのに」っていうところがあったから、中身は三葉だった時の瀧は面白かったし、中身が瀧だった時の三葉はガサツでちょっとヤンキー(?あれ?これって死語かな笑)みたいに見えてハラハラした。たぶん結局誰しも、「これが普通」って基準があって、だからこそ違和感を持つ。その違和感を逆手にとったところがこの映画の上手い所の一つだろうと思う。

そして一番、入れ替わった効果がデカかったところは、奥寺先輩との関係。瀧が瀧のままだったら、バイト先のマドンナである奥寺先輩との関係はあそこまで進展しなかったってところは誰もが認めるところだと思う。じゃあなんで進展しなかっただろうなって思うのかっていうと、「俺は男で彼女は女」っていう意識と、「片思いの相手」っていう意識があったからだろうね。じゃあなんで三葉ならあんなに進展させられたのか、それは彼女にとっては「綺麗で優しい女の先輩」であって、恋仲ではない純粋な「友達関係」を奥寺先輩に求めたからじゃないかな、

と思う。まぁ、でも、これは三葉がノンケ、つまりヘテロセクシュアル(異性愛者)だったからからの話。もしここで三葉がゲイだったら、もっと切なくて、友情がテーマの青春映画になってたんじゃない?笑笑 でも、異性と仲良くなることを考えた時、恋愛対象かそうでないかは重要な一つのハードルになってるとは思う。ただあまりにも三葉が純粋に接してくるから、奥寺先輩も少し「瀧」に惹かれてたんだろうね。

なぜ「タキ」の冒険だったのか?

さて、色々語ったけど、最期にもう一つ。なぜ両者共に相手を探し求める冒険をしたのに、大きく取り上げられたのが瀧だったのか。同じように相手を求めていたのなら、瀧を3年前の存在にして、三葉の冒険を大きく取り上げるのでもよかったはず。そこでよく考えてみた。三葉ならもしかしたら、瀧と同じように、相手を探し求める旅に出ただろうとは思う。でも、探し求めた相手が故人だったと知ったら、それ以上瀧に会おうとするところまで話を持って行けなかったのではという気がする。

女の子は感情的な生き物ってよく言うよね。強い感情があったからこそ、三葉は地元を抜け出して、遠く離れた東京まで瀧に会いに行けた。それができる彼女だからこそ、旅に出れるだけの強い気持ちは持てる。でも、感情的な気持ちは持続性がない。持続性をもった感情は、どちらかというと執着心になってしまうから、綺麗な青春映画には向かないよね。更に加えて、女の子は現実的な生き物だ。故人だと知ったら悲しみに明け暮れこそすれ、相手に会おうと険しい道のりを超えて無謀な旅に出ることは難しいと思う。だからこその瀧だった、いや瀧じゃなきゃいけなかったんだろうね。

さぁ!小難し話はこれくらい!笑 今回は少し違った角度から見たからややこしい話になってしまったけど、実際の映画は私もリピートした程面白い映画だったよ◎まだ見てない人は是非見てみて!See you again!

Movie Holic映画

hiyori • 2016年10月14日


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