LGBTキャラクターも登場?映画「ズートピア」に込められたメッセージ

2016年4月末に封が切られて以来、未だにヒットを記録し続けているディズニーの新作映画『ズートピア』。『アナと雪の女王』を超える大人気ぶりを見せている本作は、『アナと雪の女王』に負けず劣らず強烈なメッセージ性を秘めている。

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画像引用:www.disney.co.jp

2016年5月に公開されたズートピアの削除シーンでは、肉食獣は「危険」と見做され、ある程度の年齢になると興奮した際に電流が流れる首輪の使用が義務付けられる、ディストピア的世界が展開している(ディズニーがYouTubeに公開した削除シーン集は、現在は削除され、観ることができなくなっている)。

映画本編にはそうした激しい問題提起は無いものの、主軸となるテーマは変わらず、差別や多様性について考えることを余儀なくされるような重たいメッセージが込められている。

ズートピアにLGBTのキャラクターが登場している?

そんな「ズートピア」に、LGBTのキャラクターが登場しているのではないかという憶測がファンの間で交わされている。年齢、体格、性格までありとあらゆる動物が登場する「ズートピア」。LGBTのキャラクターではないかと囁かれているのは、ズートピアのシンボル的歌姫「ガゼル」と、主人公ジュディのお隣さんだ。

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ズートピアのシンボル、歌姫「ガゼル」

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画像引用:www.disney.co.jp

誰もが何にでもなれる」というスローガンを掲げる街、ズートピア。劇中に何度も登場する「ガゼル」は、そのシンボル的存在として描かれている。主人公のジュディが初めてズートピアに足を踏み入れた際には巨大電光掲示板から「ズートピアへようこそ」と歓迎の言葉を贈り、物語終盤、ズートピアが混乱に陥った際には互いの違いを認め合うよう呼びかけた。

ズートピアの動物たちは、当たり前だが皆現実世界に存在する動物をモデルにキャラクターデザインされている。ガゼルの場合、その模様から「トムソンガゼル」ではないかと言われているが、このトムソンガゼル、長い角を持っているのはオスだけなのだ。

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img:By The original uploader was Energo via Wikimedia Commons

こうした経緯から、ガゼルがトランスジェンダーなのではないか、と考えるファンも多い。仮に彼女がトランスジェンダーであったとするなら、劇中、ジュディの同僚のクロウハウザーが彼女を指して言った「角のある天使」という言葉にも含意があると考えられるかもしれない。

名前すら登場しない、不思議なお隣さん

続いて紹介したいのは、主人公ジュディの隣室に住む不思議なお隣さんだ。隣室の音が筒抜けのアパートで、ジュディは度々彼らの口論を耳にする。だが、その内容の多くは「黙れ」「お前が黙れ」といった無意味な罵り合いなうえ、彼らは劇中一切名前を呼ばれることはない。

彼らの名前が分かるのはエンドロールにおいて。初めてフルネームが明かされた際に、彼らが同じ名字だったことが分かる。

勿論兄弟二匹で部屋をシェアしていると考えることもできるが、ズートピアでは同性婚が認められており、入籍してどちらかの姓を二匹ともが利用していると見ることも可能である。このお隣さんについては最後までキャラクターに関して明確に言及されていないだけに、様々な憶測が飛び交っている。

ガゼルといいお隣さんといい、あくまでLGBT的な属性を持つことを仄めかす、あるいは想起させる程度だが、今回の映画におけるテーマや、差別を受けてきた歴史のある他の属性についても劇中で触れていることを考えると、彼らがLGBTであるという考察は、あながち間違っていないのかもしれない。

「多様性」と「平和」を訴える

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画像引用:www.disney.co.jp

本作は、全米黒人地位向上協会‎の抗議によりディズニー側が公開を自主規制した1946年製作のディズニー映画『南部の唄』へのオマージュと自己反省とも受け取ることができる。

ディズニー初の実写映画とも言われる本作だが、問題となったのは作品内で白人と黒人がまるで対等であるかのように交流を行っている描写がされている点だ。当時、白人と黒人の間には明確な差別が存在し、『南部の唄』で描かれているような交流はあり得なかった。

こうした描写は歴史的事実の誤認を招くとして抗議がなされたのである。

『南部の唄』は主人公ジョニーとリーマスおじさんの交流を描く実写パートと、リーマスおじさんが語り部となってジョニーに聞かせる物語のアニメパートに分かれている。

リーマスおじさんが語り聞かせる物語の内容であるところのアニメパートは、身体は小さいけれども賢い「ブレア・ラビット」が機転を働かせて、自らを食べようと付け狙う「ブレア・フォックス」をやりこめるストーリーだ。

ディズニーリゾート屈指の人気アトラクション「スプラッシュマウンテン」は、この作品が元となっている。

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画像引用:www.tokyodisneyresort.jp

劇の終盤のジュディのピンクの上着にジーンズという出で立ちも、『南部の唄』のブレア・ラビットを彷彿とさせるファッションである。

そこにどれだけの意味合いが込められているかはともかく、ディズニーが差別について語る際避けては通れない『南部の唄』を、彼ら自身はっきりと意識していることは明らかだと言える。

ディズニーが語る「差別問題」とは

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画像引用:www.disney.co.jp

直接的、あるいは間接的な差別表現を行うことは言語道断だが、確かに存在した、そして今も目の前に存在し続ける差別を「ないもの」として直視を避けることもまた、差別を助長させる要因となる。

Zoo+UTOPIA(理想郷)で「ズートピア」。しかし、誰もが何にでもなれ、肉食動物と草食動物が仲良く暮らす「理想の街」も、暗部や問題を抱えている。その事実は、劇の最後のジュディの言葉によってはっきりと告げられる。

今作「ズートピア」は、主人公であるジュディ自身に、自らの無意識の中に根を張っていた差別意識に気づかせ、大きく成長させた。

あらゆる差別や社会的問題に真っ向から向き合っていこうとするディズニーの強い意志を感じさせる作品だと言えるだろう。

現在製作途中の『アナと雪の女王』にも期待が高まる。

アニメ映画

Made In Gender編集部 • 2016年6月28日


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