女性の社会進出が実現しつつある現代。しかし性別役割分業の精神はいまだに残っていて、本当の意味で男女平等とは言い切ることはできないだろう。
そんな中、英国のテレビ局BBCが革新的な番組を放送した。タイトルは『No More Boys and Girls:Can Our Kids Go Gender Free?』2週にわたって放送された。その内容をご紹介しよう。
番組の趣旨とタイトルに込められた意味とは
舞台はイギリスのワイト島にある小学校で、コーディネーターは医師であるJavid Abdelmoneim 氏。
Will you watch @BBCTwo 9pm tonight #nomoreboysandgirls ? Avoiding pigeonholing children, encouraging the fullest development & learning pic.twitter.com/JP9czFf1xE
— Javid Abdelmoneim (@thisfoolj) 2017年8月16日
23名の7歳児を対象に、性別区分のない(Gender Free)授業を6週間行うというものだ。
Dr Javidの考えによると男女不平等のルーツは幼少期の教育の受け方にあるという。女の子は可愛くあるべきで男の子は強くあるべきという固定概念による教育のことを指しているのだろう。
そこで彼はすべての性差を取り払い「男性らしさ」「女性らしさ」を子供に押し付けない‘Gender Free’な授業を行うことが男女平等レベルの引き上げになると感じ番組に参加したようだ。
Gender Freeな授業内容
まずDr Javidは先行調査として子供たちにジェンダーに関する質問をした。
ある男の子こう主張した。
“I think boys are cleverer than girls, because they get into president more easily, don’t they?”
“男の子は女の子より賢いと思う。なぜなら男性のほうが女性より簡単に大統領になれるよね?”
一方女の子に「Girl」を表現するのにベストな言葉を質問すると
“pretty, lipstick, dresses, love hearts”
‘可愛いさ、口紅、ドレス、優しい心’
と発言している。ほかにもさまざな意見が出たようだがこれらをまとめると、男の子は自身の能力は過剰評価する傾向にあるが感情を表現するのは不得意である。そして女の子は自尊心が低く自身が優れているとあまり表現しない傾向にあると結論付けた。
そこでDr Javidは以下のことを子供たちに6週間実践してもらった。
- 同じトイレを使うこと
- 一緒に同じスポーツをすること
- 同じ本を読むこと
- 性別区分のないニックネームで呼び合うこと
担任の教師や保護者にも性別役割を押し付けないように協力をお願いしGender Freeを徹底した。
続いて女性のマジシャンや整備士、男性のメイクアップアーティストなど子供たちのジェンダーステレオタイプに反する職業についている人たちを教室に招待し子供たちと交流してもらったそう。
授業を通して子供たちは変わったのか
6週間後、子供たちに同様の調査を行うと驚きの結果が出た。
- 男女の自尊心の差が8%から0.2%にまで減少
- 女の子の自発性が12%上昇
- 男の子の他者に対する親切心が10%上昇
- 男の子の不品行が57%減少
ある女の子は自信たっぷりとこう発言した
“I think I can do anything now, because I know I can be anything I want to be.”
“今ならどんなことでも出来きると思う。だって私はなりたい者になれると知ることができたから”
今回の試みが子供たちに影響を与えたことは間違いないだろう。こういった教育カリキュラムがジェンダー差別のない誰もがなりたい者になれる平等でGender Freeな世界への近道なのかもしれない。
参考引用:bbc.co.uk