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Pokémon GOが世界的大ヒットを見せている。かつてポケモンをプレイしていたという人も、今でも楽しんでいる人も。老若男女問わず巻き込む人気ぶりは、ゲームの1タイトルとしては異例といって良いだろう。そんなpokémon GOのテストプレイを行って、ひとつ気付いた点があった。自らの分身となるキャラクターの作成時、性別を選ばせる選択肢が存在しないのである。

ポケモンとジェンダーの歴史を振り返る

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2000年に発売された「ポケットモンスター クリスタルバージョン」で女性主人公が追加され、以降、携帯ゲーム機で発売されるほとんどのタイトルで、男性主人公、女性主人公の2種類が選べる仕様になっている。選ばなかった性別のキャラクターは、物語中主人公のライバルとして登場することになる。
長い歴史を持つポケモンシリーズは、アニメ版も根強い人気がある。ゲームはやったことがなくても、アニメは観たことがある、という人も多いかもしれない。
「男の子向け」と「女の子向け」。キャラクターが作る性別のかたち
そんなポケモンシリーズについて考えるにあたって注目したい点が、「男の子・女の子」共に愛されるコンテンツである、という点だ。キャラクターが増えてくるにつれ「男の子向け」「女の子向け」が顕著なデザインのキャラクターも目立ってきたが、1996年から変わらず愛されているピカチュウは、男女ともに人気がある。
子供向けアニメは、意外にも「男の子向け」と「女の子向け」がしっかりと線引きされている。それらはキャラクターグッズとなって子どもたちの持ち物へと入り込んでいく。鞄から水筒、文房具まで「お気に入りのキャラクター」で揃えた時、いつの間にか男の子の持ち物は青く、女の子の持ち物はピンクに染まっている……ということも少なくない。
ポケモンは性別の垣根を壊すのか? Pokémon GOに見る可能性

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そんな中で今回発表されたPokémon GOが、キャラクターの作成を「男女」ではなく「スタイル」という表現に変えたことは、ほんの小さな一歩ではあるが、今後のポケモンの展開を考えていくうえでは大きな意思表示としても見ることができるかもしれない。
今回のPokémon GOは、あくまでNianticから出されたタイトルで、ポケモンシリーズの正当後継にあたるものではない。だが、たとえば主人公の冒険をサポートする「はかせ」に女性を登場させたり、あらゆる人種や文化的背景を持つ登場人物をストーリーに組み込んだりと、ダイバーシティという観点から見て、ポケモンシリーズは他のゲームの一歩先を歩んできた。
世界中の子どもたちに大きな影響力を持つ「ポケモン」が、今後ジェンダーを取り巻く様々な問題をどのように取り扱っていくのか、次期タイトルにも注目したい。