「わたしらしく暮らせる街」へ。豊島区が新プロジェクトを始動

2017年11月14日、東京都豊島区は「わたしらしく、暮らせる街」の実現に向け、豊島区に何らかの形で関わりを持つ、様々な立場の人々が集まる会議「としまぐらし会議」のキックオフイベントを開催した。

主催するのは「豊島区 女性にやさしいまちづくり担当課」。
第一回となる今回のキックオフイベントを含め、全四回の開催が予定されているという。

「地域の暮らしを考える」とは?

としまぐらし会議
第一回のキックオフでは、街づくりに様々な形で関わる4名のプレゼンテーターが登壇し公演を行ったのち、参加者それぞれが、「自分自身が豊島区でどう生きたいか・何をしたいか」を考え、発表しあうグループワークを行った。

「街にどうなって欲しい」「行政にどうして欲しい」といった意見を募るのではなく、自分自身の人生設計から街づくりを考える、という取り組みは、今までありそうでなかった視点ではないだろうか。

「としまぐらし会議」はなぜ始まった?

実は、豊島区は東京都23区の中で唯一、日本創成会から「消滅可能性都市」として指定された街である。
消滅可能性都市とは、人口流出や少子化に歯止めが効かず、現在の人口減少率がそのまま続けば自治体の存続が危ぶまれる街のこと。

具体的には、2010年から2040年までの間に20~39歳の女性の人口が5割以下に減少すると推測される自治体で、なんと、全国の市区町村の約半数が該当するという。
人口過密のイメージが強い東京23区ではあるが、豊島区はその例に漏れるらしい。

そうした「消滅可能性」を少しでも減らすべく「女性にやさしいまちづくり」を掲げ、様々な活動を行う中で発足したのが今回の「としまぐらし会議」だったというわけだ。

「女性に優しい」は、ブームに過ぎないのか、それとも

としまぐらし会議
豊島区のこうした取り組みは何も目新しいものではない。現在多くの市町村が「女性に優しい」や「子育て支援」「誰もが暮らしやすい街」といった、聞こえの良い言葉を掲げて、日々「まちづくり」に勤しんでいる。

勿論、子育てのサポートなど、これまでないがしろにされてきたことがらに焦点が当たるのは素晴らしいことだし、自分が暮らす街を自分たちの手で変えられるかもしれない、という期待は、自治体の人口減少を食い止めるのに一役買ってくれるかもしれない。

しかし、中にはそうした取り組みが上手く行かないばかりか、新たな問題を引き起こしてしまうこともある。
今年の9月に「かほく市ママ課」が炎上した事件は記憶に新しい。

関連:独身税提案を否定、webサイト消失。炎上中の「かほく市ママ課」タイムライン。

たとえば今回の「としまぐらし会議」は男性女性を問わず様々な人々の参加が可能で、実際の参加者の中にも男性の姿がちらほら見える。

だが、サイトトップのロゴマークに描かれている人々は女性とおぼしきシルエットばかりだ。登壇者にも参加者にも男性はいるものの、
もしかすると、ここでいう「わたしらしく、暮らせる」の「わたし」は、「働く女性」と「ママ」くらいしか想定されていないのかもしれない。

当然、「女性にやさしい」は、より平等で、安全で、快適な街づくりへの第一歩だ。
だが、本当に「女性にやさし」ければ、今自治体が抱えている問題は解決するのだろうか。

いつの日か、「誰にでも優しい街づくり」が当たり前になることを願ってやまない。

出典・参考:@press

イベントニュース多様性東京

Made In Gender編集部 • 2017年12月5日


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