「リリーのすべて」を観る前に知っておきたい、1920年代ファッションの基本

映画『リリーのすべて』が第18回衣装デザイナー組合賞において時代劇部門を受賞した。

『リリーのすべて』は世界で初めて性別適合手術を受けたトランスジェンダー女性、リリー・エルベとその妻ゲルダに焦点を当てた映画で、日本では2016年3月18日から公開されている。舞台は1920年代のデンマークとパリ。

1920年代といえば、ファッションに大きな転換期が訪れた時期でもある。ココ・シャネルやジャン・パトゥなどのデザイナーが提案した機能美を兼ね備えた女性向けのファッションは、「フラッパー・ルック(おてんば娘の意)」と呼ばれ、それまでの社会的制約にとらわれない、新たなスタイルとして人気を博した。

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リリーとゲルダの服装からも、当時のモードを読み取ることができる。

1920年代の芸術シーンにおいて台頭した「アール・デコ」。直線的・機能的なデザインが特徴で、幾何学模様がモチーフに取り入れられることも多い。アール・デコに影響を受けた当時のドレスは、1910年代以前の腰を絞り大きくスカートを膨らませたものと異なり、細長くシャープなシルエットが特徴的だ。劇中に登場する女性服も、多くは直線的なラインに豪華な刺繍やスパンコールをあしらったものだ。

劇中のリリーの服装の変化について、パコ・デルガドは次のように語っている。

リリーらしさを出すために色や髪型を色々と試したが、リリー自身も実際に何が自分に似合うかを色々試したに違いない。初めは過剰に女性的にしようとしていたが、次第にナチュラルな容姿になっていった。
引用:eiga.com

はじめスカートを膨らませボンネットを身に着けていたリリーも、徐々に機能的でシャープなデザインのドレスを着こなすようになってゆく。映画を通して1920年代の女性のファッションを感じることができるのも、この作品の特色かもしれない。

映画を観る際は是非、登場する女性たちのファッションにも注目して欲しい。

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画像引用:映画.com
参考:eigafan.com

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Made In Gender編集部 • 2016年4月12日


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